都議会第三回定例会で新たに6029億円の補正予算が成立しました。

脱炭素社会に向けた様々な取組(486億円)や、原油・原材料価格の高騰に対応するための対策(263億円)、来年にかけてのコロナ対策(5213億円)を継続するための予算などが柱です。

○コロナ対策
 9月26日から全数把握にかかわる届け出制度が高齢者や持病があるなどリスクの高い方に限定される形となりましたが、必要な方に都としての支援がしっかりと届く体制を求めました。
 また、冬場に予測されているインフルエンザとの同時流行に備えて緊急要望を提出していた高齢者のワクチン接種無料化支援が実現しました。

 昨年の感染第五波(デルタ株)の際に整備された臨時医療施設である「医療・酸素提供ステーション」を活用して、例えば人工透析や介護リハビリが可能な療養施設に進化させきましたが、今後、大災害や未知の感染症に備える施設のあり方についての検討を始めるよう提言し、前向きな回答を得ることができました。

 現状認識としては、オミクロン株による感染の波が抑制されている今のうちに、再開された全国旅行支援や外国人観光客の受入れなど経済を回す取組を推進しつつ、おそらくは寒さが厳しくなる年末から年始にかけて予想される感染の大きな波に備えるフェーズにあると考えています。接種が始まった二価ワクチンと支援が決まったインフルエンザワクチンの接種促進がカギとなる取組です。

次に、議論の対象となった都の大きな取組を紹介します。

〇都立高校入試への英語のスピーキングテスト(ESAT-J)の導入
 本制度に対しては様々な課題がこれまで指摘され、文教委員会で長く議論されてきました。都民ファーストの会としては、ひとつひとつの課題について、都教育委員会に改善策を提示しながら、より良い制度となるよう働きかけを続けてきましたが、テストの実施を目前に、「導入中止」あるいは「再延期」などの議論が強まりました。

 私たちは、子どもたちに生きた英語を身につけてもらうためには、入試へのスピーキングテストの導入が極めて効果的なものとなるという考えに立ち、課題改善や早期対応を強く求めてきました。

 一方で、中止を主張する立憲民主党は条例案を提出し、ESAT-Jの入試導入をとめようとしましたが、私たちは、条例の中身や法的な見解に基づき「反対」(自民、公明、共産など主要会派は全て反対)。

 しかし、3名の仲間が、スピーキングテストについては入試に取り入れるべきではないという信念の下、会派の出した結論に反する形で条例案に賛成を表明。会派の中で議論を尽くしても考えの溝は埋まりませんでした。
 都民ファーストの会としては、しかるべき議論を通じて出した結論に対し、いわゆる「造反」が行われたことを重く捉え、会規に照らしこの3名を10月15日付で除名処分しました。

 このような結果になってしまったこと、本当に残念ですが、もはや、やむを得ないものと受け止めています。3名が抜けた穴を埋めるべく、前を向いてやるべきことをやっていきたいと思います。

〇GovTech東京
 DXを推進するために「GovTech東京(ガブテックトウキョウ)」が新設されることになりました。これにより、高度IT人材を公務員の人事報酬制度にかかわらず雇用したり、区市町村に派遣することが可能になります。

 2017年に都議に就任した際、最も驚いたのが都庁や都議会のデジタル化の遅れ。2018年から本格的にDXに向けた提案を続けてきました。

 当時考えていた推進体制は、「DX専任の副知事級トップの設置」「都政のデジタル化をミッションとした新しい局の設置」「民間で経験を積んだ高度デジタル人材を採用、活躍してもらうために必要な人事報酬制度を実現するための手段として政策連携団体の設置」でしたが、ようやくこれでそろった形となります。

〇スタートアップ支援組織の立ち上げ
 組織横断的にスタートアップを支援する組織として「チーム東京イノベーション」を立ち上げ、虎ノ門ヒルズにて事業スタート。
 都として競争力のある産業を育成するために、創業支援、ベンチャー支援などを続けてきましたが、ここでスタートアップ支援が本格スタートします。グローバルなスタートアップたちと競い合う企業が続々と東京に誕生するよう環境の整備を進めます。

〇東京都パートナーシップ宣誓制度スタート(受付開始しました)。
 11月1日から東京都パートナーシップ宣誓制度がスタートします。これまでオリパラの開催を契機に誰一人取り残さない社会の実現に向けて様々な社会政策を実現してきましたが、2018年10月に制定したいわゆる「人権尊重条例」で差別禁止を明文化。それに基づき「東京都性自認及び性的指向に関する基本計画」を今後改正することも表明されました。

 同性パートナーシップは国レベルで法改正が必要になる同性婚とは異なり、税制や相続などの面で、婚姻と同じ権利を保障されるものではないものの、宣誓(登録)した同性カップルは、都営住宅への入居や都立病院での面会や手術の同意に際して、夫婦と同様の待遇を受けられるようになり、都職員の人事制度や福利厚生上もしっかりと趣旨が反映されます。
 なお、プライバシーを守るため、登録や受理証明書の交付などの手続きは原則すべてオンラインで行われます。こうした取組が、区市町村でも進むことを願います。

〇新築戸建てへの太陽光パネル導入義務化
 「義務化」という言葉が先行してしまったからか、あるいは自称専門家の人たちが特にネットでの主張を繰り広げたためか、様々な誤解に基づく批判が私のもとにも届いておりましたが、環境確保条例が改正されて2025年4月からの施行となります。
 大手ハウスメーカーに対して一定割合が義務化されますが、太陽光発電設備導入のための補助金などはしっかり制度化することとあわせて進められます。また、義務化の対象外である中小工務店に対してもしっかりとした情報提供することはもちろん、補助制度の対象にしていくことが答弁されています。

 CO2の排出量削減のためには、産業部門、運輸部門に比べて取組があまり進んでいない家庭部門での実効性ある対策が必要不可欠です。一方で、丁寧な説明や制度設計、経済負担を低下させる補助制度など平行して進めます。

〇その他
 これまで提案してきた公道を活用した多摩地域での本格的な自転車レースについて、国内外から注目されるような大会を目指すことや、来年秋の開催を目指して調整を進めることなどのうれしい進捗や、静岡県で3歳の園児が送迎バスのなかに取り残されて亡くなった痛ましい事件を受け、人の意識にのみ頼らないための設備等を導入する際の、補助制度について要望していたものが、支援制度として早期実現することになったことなど進展がありました。