第一回GRサミットに参加。(GRとはGovernment Relationsの略。)

使う立場や場面によっていろいろな解釈があるようですが、GRは社会課題の解決にあたり「行政としては民間の力を活用するために所管領域を開き、民間は行政が必要とする役割やこれからの社会に必要なルールや施策等を提言していく」ための『新しい関係』と理解すればわかりやすいかと。

新しい関係としたのは、これまでの伝統的なロビイングのアプローチと異なり、社会課題(とりわけ今回のGRサミットで焦点となったのは地域課題でした)の解決という目的性を重視した「イシューオリエンテッド」なアプローチが重視されているためです。

当日は民間、行政、首長、首長経験者、議員の方々がそれぞれの立場から、あるべき姿や課題などについて論じておられましたが、私としては現在与えられている議員として果たすべき役割について、理解を深める時間になりました。

議員は「市民を代表して行政をチェックする機能」に加え、「行政に対して市民の声を届け、また社会課題の解決策を提案する」ことを役割にしていますが、一方で残念ながら自らが直接的に課題解決をするための権能をほとんど有しません。

そこで、求められるのは営利非営利を問わず、ひろく民間が有している課題解決能力を知り、公益性のために活用するために、行政の機構や制度また行動原理を理解した上で、知恵をだすことであり、そのためにも行政が普段触れることのない現場の方々の最前線に触れておくことが必要になります。

この「知恵を出す」ためにも、今回のディスカッションのなかには様々な学びや気付きがありました。

一例を紹介すると、村上内閣府審議官の「地域課題の解決のためには5名あるいは7名の立場は異なっても目的を共有できるチームを立ち上げること。」「その中からは自身の売名行為を目的とする人は排除すべき。」「役所とプロジェクトを立ち上げるときは同時に3名の理解者を得るべき。」といった示唆(それぞれに理由が示されましたが長くなるので割愛します)。

また、災害対応の合間で登壇された熊谷千葉市長の「行政を(民間の感覚で)せかしてはいけない。」という言葉には、行政には民間の業務プロセスにはない公平性や透明性を担保するために必ず踏むべきステップがあり、このような行政特有の行動原理を理解した上で働きかけを行わなければ建設的な議論が生まれないという意がこめられていました。

お声をかけてくださった主催者やご登壇者の皆さんに心より御礼申し上げます。